I家が必要とした車
家族が必要とする車といえば基本的に全員がゆったり座れて、部活動の遠征などで使う際に車内で着替えが容易な大容量だったり、乳幼児の乗り降ろしが楽なスライドドアを装備したワンボックスタイプだったりします。最近ではそういったユーティリティーを充実させてお父さんの趣向も取り入れた大口径ホイールのスタイリッシュな車が増えてきました。馬力を諦めてスタイリングをとるというパッケージングです。
中流家庭のIさんが車購入に用意できるのは300万円前後です。買うからには10年以上乗ることが約束です。いまどきのスタイルがカッコイイとは思うもののタイヤハウスぎりぎりの大口径薄型タイヤや地面ぎりぎりのバンパーによるストレスがボディーブローのようにじわじわきいてくることは体験済みです。さてI家はどんな車を求めるでしょう?
乗り換えるにあたり条件は・・・
- 急いでいるときに除雪しなくても走り出せる4駆
- 視界良好な高いアイポイント
- 燃料は軽油かレギュラー
- 広い居住スペースと荷室
- 威圧感があり10年以上乗っても風化しないエクステリア
- 予算は300万前後
Iさんの家ではサードシートを必要としていません。そのほとんどのシーンでたたんでいるサードシートは荷室を狭く、車を重くするだけです。大体において快適なサードシートをあまりみたことがないのがその理由です。また、過度な馬力も加速性能もあまり必要としていません。公道で追い抜きをかけるだけなら運転の仕方ひとつなのでスバルのワゴンも三菱のSUVもIさんの視界には入らないようです。家族持ちとしては加速にこだわるぐらいならリセールにこだわります。
このような条件を勘案した結果、ファミリーカーとしての選択にコンパクトSUVかクロカン4駆という選択肢がクローズアップされてきました。
I家の愛車はUSアコードワゴンのsirでした。黒のローダウン、フルエアロで、気取って走れるのに荷物も沢山詰める贅沢な車です。後席を倒せば大人二人寝ることも出来ます。エンジンは当時ホンダの最高傑作といわれたH22A、高回転型で2,200ccのNAながら160PSを絞り出し、5ATとの組み合わせで走行性能でも満足のいく車でした。走りを楽しめ、旅行でもストレスがなく、二人で移動するぶんには贅沢なデートカーのアコードワゴンですが、設計の古さと高回転型ゆえの燃費の悪さ(なおかつsirはハイオク仕様)と、もともと低い車高であるためオンロードでしかその力を発揮できないこと、後席の狭さなど、ファミリーカーとしてはネガティブな面を多々持ちます。また、sirはFF。雪国に住むIさんとしてはそろそろ道を選ばない車に乗りたいとも思っていました。